水はけも悪いし、ゴボゴボって音が聞こえるけど何だろう?

一人暮らしを始めて1年、誰からも干渉されず自分のペースで生活ができるって、なんて気楽で素敵なんだろう。当分の間この生活から抜け出せそうにないし、抜け出すつもりもない。それなのに先日、今付き合っている彼からプロポーズを受けてしまった。彼のことは好きだけれど、まだこの極楽とんぼな生活を手放す気にはなれない。そんなわけで私は彼への返事をなかなかできずにいたのだった。

そんなある日、我が城にある風呂の排水溝の調子が悪くなり始めた。水はけも悪いし、ゴボゴボって音が聞こえるのだけれど、この音は何なんだろう?何か詰まっているんだろうか。確かめなくてはと思いつつ、私は超がつくほどの潔癖症なので、排水溝に触ることができない。そのときちょうど私の彼が遊びに来ていたので、お願いして見てもらうことにした。彼が排水溝に手を突っ込んで、詰まっているものを取り出したとき、私は思わず悲鳴を上げそうになった。中から貞子みたいなのが出てきたからだ。だけどよく見るとそれは貞子ではなく、私の髪の毛の塊だった。それもものすごい悪臭とともに。私はえづきそうになりながらも(←自分のだというのに)、彼にゴミ袋を渡し、彼がそれを処分してくれた。こんな貞子みたいなのが詰まってたら、そりゃー水はけも悪くなるはずである。

まあ、何はともあれよかった、なんて思っていたら、その直後から彼の具合が悪くなり、何と高熱を出してしまったのだった。やっぱり貞子の祟りなのだろうかと私は背筋が寒くなると同時に、他人の排水溝の貞子を処分してくれる彼の人柄に心を打たれた。極楽とんぼと彼の人柄、どちらかを選ばなくてはならないとしたら…答えはもちろん決まっている。

来年の夏、私たちは結婚することになった。家事の殆どは私の役目だけど、相変わらず潔癖症の私の代わりに、排水溝の掃除だけは彼が担当してくれることになっている。

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